人口約1万5千人の大山崎町には図書館がありません。
公民館の中に図書"室"があるだけです。
実は、本屋さんもありません。
文化度が高そうと思って大山崎町に引っ越してきた身としては、とても意外でした。
そんな大山崎町で、まちの「図書室」のあり方について考える講演会とワークショップが開催されたので、参加してきました。
今回のワークショップは図書室を愛する町民団体「大山崎ライブラリーフレンズ」が主催。なんと、「未来の図書館、はじめます」の著者・岡本真さんがゲスト&WSのファシリテーションとのことで、すごく楽しみにしていました。
前半は講演会、後半がワークショップ。
講演会では、岡本さんから全国にある未来の図書館を紹介。大山崎町の参考になるであろうとピックアップしてもらった図書館はどれも特徴があり、とても学びが多かったです。メモをそのまま転載します。
大山崎の参考になる図書館
・滝川市立図書館(人口4万人)
市庁舎内に移転、移転後7年で10万名
(府内だと精華町が庁舎内に図書館がある)
→中心市街地が復活、人が回遊するようになった
・須賀川市tette
3.11で市役所・福祉施設・体育館倒壊、農業用ダムが決壊、内陸津波
復興の象徴となる複合施設。
市民が図書館案内をしている
・鯖江市図書館
ファッション誌(メガネ職人の参考に)
→大山崎だったらマクセルやダイハツの人にとって役に立つ資料を充実させるとか
鯖江市図書館友の会→市長に意見できるほど図書館への愛で溢れてる
・伊丹市立図書館ことば蔵
図書館としては普通
市民同士が自己実現を応援する環境がある
・西ノ島町コミュニティ図書館(人口5000人、5億円の図書館)
図書館プロデュースの専門家でも思いつかなかったコミュニティ図書館という発想
いわゆる「本」のリファレンスや貸し出し以外で、図書館の価値が生まれている事例でした。
その影響もあってか、後半のワークショップで図書館で何がしたいですか?という問いに対しては、大きく「人の交流」や「コミュニティ」が6ー7割を占めていた気がします。
後半のワークショップは、さすが岡本さんでした。
図書館で「する」ことや「したい」ことを挙げて、「ある(べき)」ことや「ほしい」ことを列挙するのはやめましょうと。図書館(や公の施設)はこうあるべき、図書館にこんな機能がほしい、というのは行政への依存で、自分たちの図書館なんだから自分たちでやるというスタンスが大切であることを述べていました。
これは市民参加ワークショップで超大切なこと。市役所がやってくれる時代じゃないから、自分が何をしたいか、何をするのか、という視点で考えないと何も進まない。
WSのグループにいたご高齢者が、「何をしたらいいかわからない」と付箋に書いていたのはとても印象的でした。
何もしなくていいのも図書館ですよね。
別のグループでは5歳が「図書館で自由にしたい」って書いたそうです。
どう応えますか、我々大人は。
ちなみに今回僕がだした「図書館でしたいこと」は以下。長いのでとばしてください。
・夜利用
・昼寝
・ゴロゴロ
・本を買う
・まちづくり会議
・同世代の集まり
・子どもがはしゃげる
・集中して本が読める
・仕事や自習
・自由研究の学習塾(小学生向け)
・定食を食べる
・テナントで稼ぐ
・美術鑑賞
・映画鑑賞
・町民史をつくる
ほか。
全部は説明できませんが、
夜利用は大山崎町ではマスト。ちょっと古いデータですが、H22年の昼夜間人口を見ると、人口1万5千人に対して、仕事や学校で大山崎の外に出ている人口は約6000人弱。
平日17時で閉まってしまう図書室をこの6000人(町民の4割)が使うことはほぼ不可能です。
また、大山崎町は空きテナントが少なく、個人商店がはじめにくい土地柄です。
僕はまだ2年しか住んでいませんが、この2年の間に大山崎の文化度の高さや雰囲気に惚れてお店をやりたいと言った知人を3組知っています。
しかし、住居一体型のテナントも多く、テナントは空いていても裏に住んでいるから使えないテナントのなんと多いことか。
大山崎町には図書館にぜひテナントを併設して、そこで家賃収入を得てもらいたい。
図書館に限らずこれからは公の施設は少しずつでも稼がないと維持ができない。
岡本さんからは、もし大山崎町に1000平米の図書館ができれば、年間20-30万人の来場者が見込めるのではないかとおっしゃっていました。(ちゃんとした検証が必要ともおっしゃっています)
個人的には、自由研究(探究)をする小学生向けの学習室をやっているので、図書館にテナント置けたらめっちゃ嬉しい。インターネットで調べるのは小学生も簡単にできるけど、その正確性や情報の危うさも知ってほしいので図書館で調べる経験を積んでほしい。
というのが個人的にやりたいことです。
グループのかたから、「テナントいいけど、なんでもいいってわけじゃない。大山崎町にあるお店は個性的だけど雰囲気がとてもよく、大山崎らしい。そういう線引きも必要」と意見をいただきました。
まさに、ごもっとも。「いざ!」なんて言って鎌倉をパロディってる場合じゃない。大山崎の文化的な空気をもっと大切にしてほしいものです。
さて、先ほども書きましたが、今回のワークショップで町民がだしたやりたいことの6-7割が「交流やコミュニティ、居場所」でした。
アイデアをおそらく「本」縛りにしていたら本にまつわるやりたいこともたくさん出ていたでしょう。前半の講演の影響もあってそういう流れになったと思うのですが・・・「交流やコミュニティ、居場所」って図書館じゃないとできないですか?
これってソフト面(コンテンツ)なのでハードがなんでも(図書館じゃなくても)できる。それこそ、図書館と同じく社会教育施設の公民館が担っている役割ともいえます。
なぜ図書館なのか。
公民館にはない図書館の魅力がそこにあるから。
逆に公民館の使い方を改めて考えるのも大切ですよね。(湖南市では「未来志向公民館」というプロジェクトが動いています)
来週は2回目のワークショップがあるので、もっと図書館について勉強してから臨みたいと思います。
主催してくださった団体
大山崎ライブラリーフレンズ(Facebook)
https://www.facebook.com/oyamazaki.library/