大山崎町には、JR山崎駅と阪急大山崎駅の2駅があり、この2つは徒歩5分ととても近く、大阪ー京都の通勤・通学者の乗り換え駅として使われることも多い。
また、JR山崎駅は、南側に離宮八幡宮と千利休の茶室がある待庵、北側には昭和の名建築・聴竹居と大山崎山荘美術館があり、歴史・文化度の高い観光資源が残っている。
間違われがちだが、サントリーのウィスキー工場は「山崎」というエリアにあるものの、住所は大阪府島本町にある。とはいえ、最寄駅はJR山崎駅なので大山崎町の観光資源と言ってもいいかな。
大山崎町に住んでいると言えば、知っている人たちからは「自然が豊かで水がきれいないいところだ」と羨ましがられる。
一言で伝えるのは難しいが、大山崎町のもつゆったりとした雰囲気は、こうした歴史・文化から醸し出されている。
そんな話をしたのが昨年度に開催された「あったらいいな駅前ワークショップ」
2018年度はこのワークショップを2、3回開催して、市民からでた意見をもとに、来年度に駅前再開発の指針をつくるそう。
今回は京都文教大学の片山明久氏による「観光潮流の変化とコンテンツツーリズム」の基調講演からスタート。
時代の流れとともに、旅行に求めるものの変化があることを事例を交えて教えていただいた。
「コンテンツツーリズム」のなかでも、映画、大河ドラマ、アニメの舞台になった地域の事例もでていたが、先生もおっしゃっていたけど、舞台になるのはすごく難しい。
偶然を待つか、お金を使ってフィルムコミッションを設立するかなど、すぐにできることではない。
基調講演の最後に質問コーナーがあり、市民の方からこんな質問があった。
「天王山はすごくいい、自慢の山。東京の高尾山のような人気を得るためにはどうしたらいいか」
先生の回答では、なぜか高尾山の隣の山が何かの舞台になったらしく、オタクが高尾山の隣の山にたくさん登るようになったという、回答になっているようでなっていないコメントとともに、最後にこんなことを言っていた。
↑Twitterにも書いたが、「地域の文脈を無理しすぎないで活用する」というのはすごく納得させられた。
最初に書いたが、大山崎町のいいところは、都会に近いのに豊かな自然があることや、歴史・文化が残り、その空気がまち全体を覆っていることだと思っている。
個人的な意見だが、大山崎町にポップさはいらない。かわいさはいらない。
現在の大山崎町がアウトプットしているブランディング、デザインの方向性には違和感があるのは、地域文脈を無理して使っているからではないだろうか。
この日のワークショップでも「『ハートのかたち』を活かしてどうのこうの・・・」という意見がたくさんあったが、ハートのかたちに魅了を感じる観光客が本当にいるのだろうか。天王山の頂上はもちろん、ヘリコプターで上空から見てもハートはどこにも見えないのに。
3つの町が合併して生まれた大山崎町。当時、3つの町で心を寄り添い、力を合わせて頑張ろう、みたいな感じのスローガンでハートを使うならわかるけど。
大山崎町が目指すべき観光の方向性は、秀吉と光秀のゆるキャラではなく、パヴェナチュール(パン屋)、サンク(パン屋)、大山崎 coffee roasters(コーヒー焙煎)のお店がもつ雰囲気ではないだろうか。